世代で異なる訪日観光客のニーズ

近年、海外に旅行する中国人が増えつつありますが、旅行に行く理由は各世代によって異なっています。

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20代の中国人、とくに大学生の間では、「ビンボー旅行」がはやっています。お金を全く使わないわけではないのですが、年配の人のような贅沢旅行ではない方がシンプルでカッコいいと感じているわけです。具体的にどのような旅行なのでしょうか?

例えば、ホテルに泊まるのではなく比較的安い民泊を選択する。また“懐石料理”など高級料理を食べるのではなく庶民的な食事を食べる。そして交通手段はレンタカーではなく電車や地下鉄、或いは民泊から自転車を借りて利用する等々。

ですから、日本人の普段の生活と近い生活を体験することが、若者たちが求めている旅行のスタイルだと思います。

 なぜ若者たちはこれを求めるのでしょうか?まず旅行に行く理由は3つあると考えられます。

 1つは、旅行が好きで日本のポップカルチャーを受け入れて好きになって、日本で他の人と異なる旅行を体験したいからです。

そしてもう1つは、未来に対して迷ってしまうときに、旅に出て“自分探し”をするためです。

 3つめは、将来就活の時に“学生時代いちばん力を入れたこと”、“特別な経験について”などを聞かれたときに語れることを、作っておくためだと思われます。

 以上のような理由で日本を旅しようと来るわけですが、あまりお金のない大学生にとっては、“ビンボー旅行”がいちばんの選択肢だと考えられます。

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30代になると旅行の目的は変わってくると見ることができます。

仕事のストレスや多忙な生活からの息抜きという意味合いが強くなると思われます。30代の人たちが求めるのは、基本的にはリラックスしてゆっくり過ごせることだと思いますが、一方、友人や会社の同僚から頼まれて、また家族のためにお土産やプレゼントの買物をする人も多いです。 

それに周りの人たちがみな海外に行っているので、自分だけ行かないと“仲間外れ”になってしまうようにも感じるでしょうし、誰かからお土産をもらったら自分も相応のものを買って帰ってお土産として渡さないと、人間関係が円滑でなくなってしまいます。

本当の旅行好きの人を除いて、ある程度の貯金がある普通の30代にとっては、日本に旅行することは、休暇のため以外に、はやりに乗って日本に来て、はやっているモノを買い、はやっているモノを食べ、はやっていることを体験し、それを帰国してから友人に伝え、周囲の旅行の話の中でそれなりの存在感を示しつつ接点を保つためではないかと思います。

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40代の人々は大体結婚して子供を育てているので、旅行することは自分1人のリラックスのためではなくなると思います。

子供の教育のために海外に行って、子供にいろいろな国の文化に触れさせて体験させる家庭は少なくないでしょう。それに日本には有名な観光地が多く、中国では見ることができなくなってしまった唐風の建築もたくさんあるので、休みを利用して子供を連れて日本を訪れた人が、子供の学校の宿題対応にも使える歴史文化の勉強ができる場所の訪問を行程の中に入れる人もいると思います。これは1つの教育投資と考えられます。

そのほか、Disney landDisney seaといった世界的に有名なテーマパークは、個人旅行の時に子供を連れて行く人気の場所なのです。

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中国では、女性は55歳で、男性は60歳で、定年退職します。近年、時間とお金の余裕がある50代・60代の中国人たちは、いつも国内にいるのではなく、海外に旅行することが増えていると見られます。その年代の人たちは、長年の間子育てをしてきた自分へのご褒美として行っている筈の海外旅行で、なぜ炊飯器などの家電製品を中心に“爆買い”をするのでしょうか?

それは仕事が忙しくて旅行に行けない自分の子供たちのために、自分が海外に行ったときに、子供たちの生活に必要なモノを買ってきてあげたいという、おじいちゃん・おばあちゃんたちの素直な“親心”というものだと思います。

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“訪日外国人”とひと言で言われますが、中国から日本に来る人たちは世代によって、体験してみたいことなど旅行に求めるモノがかなり異なっています。日本の皆さんはぜひそうした状況を理解した上で、どうやってポップカルチャーであれ、歴史文化であれ、日本の文化、または日本ならではの良質なモノや技術を、中国に、そして世界に発信していくのか、効果的なやり方を考えて取組んでいけば、双方にとって、もっともっと良い状況を創り出せると思います。