学園祭が中国からの旅行者に人気の理由

日本旅行の目的が「買物」から「体験」へ変化したといわれる今年、日本の大学や高校の学園祭は人気の「体験スポット」として、中国人旅行者の注目度が高まりました。なぜ中国からの旅行者が日本の学園祭に行きたいと思うのでしょうか?人によって少し違いがあるとは思いますが、留学生の目線から説明してみたいと思います。

中国人は日本の学園祭のどこに惹かれる?

中国でみんなが見ている日本のドラマや映画の中に、大学や高校の学園祭の場面が良く出てきます。その光景は中国の学校とはかなり違うので、「あんな学校の生活が本当にあったらどんなにいいだろう?」と思っている人はたくさんいると思います。とくに純愛ものに代表される日本の映画やドラマは中国の若い人たちに大人気で、そのシーンとして出てくる学園祭に、「日本に行く機会があったらぜひ行ってみたい!」「本当にあんな学校が日本にはあるのだろうか?」と、ちょっとワクワクする気持ちを抱いて学園祭を訪れるわけです。中国からの旅行者が学園祭に行きたい1番目の理由は、そういう気持ちだと思います。

中国の学校生活は、日本の学校とはかなり違います。最近は少しずつ変化が見られるとはいっても、中国では「学校は将来良い仕事に就くために勉強する場」であると考えられており、競争が厳しく成績は常に順位付けされます。毎日山のような宿題があるので、放課後も家に帰って勉強するだけで、他のことをする時間の余裕はありません。クラブ活動は「遊び」としか考えられていないので、日本の学校と違って殆ど参加しません。つまり学業以外のことは活動する価値も意味も認められていないのです。

学園祭やクラブ活動がある学校もありますが、日本のそれとはかなり性格が異なり、創立記念日に公的な行事として何か催し物をやるような活動が多いです。生徒も親も、そういう学校の姿が普通の学校であると思っているので、映画やドラマで見る日本の学園祭の存在そのものが、信じられないと言っても過言ではありません。ですから、中国にはない楽しい学校生活の象徴が日本の学園祭であり、訪れる1人ひとりの心に残る映画やドラマのシーンと重なって、いろいろな思いに浸れる場所でもあるわけです。

・中国の高校の創立記念日での演出

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でも、中国人旅行者にとって、学園祭の魅力は、じつはそれだけではありません。

学園祭は、「食べながら歩ける」ラクで楽しい場所

アジア諸国の中で、リラックスして何か食べながら街を歩く習慣がないのは、日本だけではないでしょうか?例えば韓国や東南アジアでも、食べながら歩くことが1つの文化、または楽しい生活習慣となっています。もちろん中国でも、食べながら買物したり街を歩いたりするのが普通です。それに、通勤や通学の途中で歩きながら朝ご飯を食べるのも、よく見かける光景です。

でも日本では、食べながら街を歩くと、「中国人はマナーが悪い」と言われてしまいます。そういう日本の中で学園祭は、中国人旅行者にとって、外国の大学の雰囲気を感じながら楽しく食べたいものを食べながら歩き回ることができるラクで楽しい場所なのです。浅草や上野が観光地として人気を集める理由の中には、食べながら歩けて日本の伝統文化に触れることができるからというところがあると思います。

中国の諺に「郷に入れば郷に従え」という言葉があります。ですから日本に来たら日本社会のルールに従おうと思っています。日本では食べながら街歩きをしないのもその一環です。でも、旅行者にはお店に入ってゆっくりものを食べる時間がありません。日本の食べ物をいろいろ味わいたいのですが、いちいち店に入って食べるのは時間がもったいないので、できればちょっと買って歩きながら食べて、またちょっと買って食べるというふうにしたいのです。

学園祭は、日本の大学生と触れ合う機会があり、しかも食べながら校内を歩き回って見学することが変に見られないで済む、リラックスできて楽しいところです。これが学園祭に行きたい2番目の理由だと思います。

そして、小中学生の子供を連れた家族も、学園祭でよく目にします。この子供から大人まで誰でも行けて楽しめるイベントというところが、中国人旅行者が学園祭に行く3番目の理由といえます。中国の親は子供を名門大学の学園祭に連れて行って、「日本の大学の雰囲気が好きなら、受かるように頑張って勉強しなさい」と言います。旅行しながら子供に勉強するための将来の目標を持たせるわけです。

以上のお話が日本の皆さんに分かりやすいように、中国と日本の学校の違いについてちょっと補足します。

中国と日本の学校の違い

①意識の違い:中国の大学には学園祭がありませんが、創立記念日と校慶という行事があります。日本の大学生と比べてみれば、参加している学生たちは学生生活を楽しむためにやるのではなく、どちらかというと、将来就職のときに自分の履歴を肉付けするためという意識が強いと思われます。学園祭などのイベントに参加することは、自分のキャリアを高める1つの手段に過ぎません。

・日本の学生には、サークルや部活に参加するのは、リーダーシップやコミュニケーション力、及び責任感、協調性等を鍛える場という感覚があると思います。

・中国の学生は、実質的に将来のためになることでないと、サークルや部活は勉強の時間を取られるただの遊び時間と感じてしまいます。

%e5%ad%a6%e5%9c%92%e7%a5%ad%e3%81%ae%e4%ba%ba%e6%b0%97%e2%91%a2 (右から2人目:中国の有名な作家余秋雨)高校での座談会

②文化・制度の違い:「科挙」の影響と思われますが、古来より中国社会では知識人の社会的地位が高く、「頭が良い人」が社会的に認められる考え方があります。従って学歴に対する執着心が強く、大学の入学試験は学生にとって、未来の社会的地位や職業とつながる極めて重要なものになっています。

中国では一般的に公立高校の方が私立高校より進学率が高く、私立高校には「貴族高校」と呼ばれているところもあります。そのような学校の中に、サークルや部活・娯楽の施設が充実しているところがあります。そうした私立高校に対して、多くの人が「勉強できない」「遊んでいる」というイメージを持っているわけです。

以上のような歴史的に形成された考え方があるので、例えば中国では学校で学級委員を選ぶときも、「勉強ができる子」に偏っています。多くの場合、まず先生がクラスの中で何人か候補を選び、その子たちが自分をアピールし皆が投票して決めるという形になっています。それらの過程でも、学習能力が重視され、コミュニケーション能力や責任意識等はあまり問題ではないといっても過言ではありません。

しかし近年、中国の学校は少しずつ変わってきているように見えます。部活やサークルなどを設立する学校が増え、勉強の他に学生の責任感やリーダーシップを高めるような活動も増えつつあります。

また、私立高校には国際教育に力を入れて、英語で授業をやる学校が増えています。グローバル化に対応して、もっと国際人材を送り出していくことを目指しています。これからは、「中国式の知識人教育」から「総合的能力を持った人材」の育成へと、学校の改革が進められていくのではないでしょうか。

以下、日本の学園祭に行った、ウェイボーの投稿記事をご紹介します。

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(訳)近いうちにまた日本に行くことはできないのだ。海外交流ってホントに面白いなぁ、デザートをいっぱい食べてたら知的な先輩に笑われた。学園祭の夜の屋台が優しくてきれいで、国内の大学生活よりストレスが100倍少ないと思うqwq(でも携帯の電池が切れたから、写真がないけど…….)

 

 

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(訳)最近日本のドラマにはまってしまった。日本の学校には毎年学園祭があるんだ、いいなぁ。私の大学のサークル活動、面白くないと思う。私たちの国の学校にもこういうのがあったらいいなぁ。

 

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(訳)9月3-4日に行われたばかりの、日本で一番有名な高校の学園祭(国高祭)では、学生たちが作った看板のレベルがすごかった!プロ並み!高校の名前:東京都立国立高等学校。#日本速報#学園祭#