日本が「結婚前撮り写真」の人気スポットに。

中国のウェディング写真「婚纱照」は、婚約したカップルが結婚式を挙げる前に、専門の写真館に行ってプロのカメラマンに撮ってもらう2人の写真です。近年このウェディング写真が、普通に撮ったものではなく、特別な日を記念する「個性的な写真」へと変わりつつあります。中でも、honey monthを重ねて2人で旅行しながら写真を撮るのが今の若者スタイルで、「旅拍」という言葉が誕生しました。

「旅拍」(trip shoot)は、最近中国で流行っている旅行撮影を省略した言い方で、旅行しながら自分の姿と風景を一緒に撮ってもらう写真です。そして最近この「旅拍」が、ウェディング写真としても人気を集めています。人気のある各都市では、専門のカメラマンがカップルの観光客に街の案内や宿泊の手配などを行い、その街をガイドしながら写真を撮るサービスを提供します。そしてそのサービスは中国の国内に留まらず、ビザの申請が簡単なタイ、韓国などの地域も、「旅拍」の人気スポットになってきています。

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なぜ中国人は写真を重視するのでしょうか?

特別な日や特別な人と写真を撮るのは、そのときを特別な思い出として永遠に残すことができると思うからです。とくに結婚するときの前撮り写真には、何十年か経って見たときにその大切な瞬間を思い出させてくれるという想いがあります。中国人はこの前撮り写真の他にも、春節や中秋節などの特別な日に家族写真を撮ります。家族という概念は中国人にとって何よりも大切なものとして染み込んでいるので、結婚して1つの家族を組む際には、その瞬間を永遠に保存しようとする気持ちから、前撮り写真を重視しています。

しかも、「花嫁になる瞬間は女が人生の中でいちばん輝くとき」と言われています。そうした意味からも、あまり経済的余裕がなくても、結婚するときには納得できる前撮り写真を撮って、一生の記念として大切に持っているのが普通です。

昔から前撮り写真には主に2つのバージョンがあります。1つはチャイナドレス、もう1つはウエディングドレスです。それらの「伝統的」前撮り写真に対して、今の若者たちの間にはそれだけでは満足できないといった傾向が現れてきています。「旅拍」はそうした気持ちをきっかけにして流行り始めたのです。

異国を旅行する中で発見した「新しい自分」をプロカメラマンに撮ってもらい、普段と違う自分を写真で残し思い出にするのは、伝統的な前撮り写真とは異なる「今のスタイル」です。「自分を美しく表現したい」、「少し盛った自分を見せたい」、そして「自分がいちばん美しい」と感じるナルシスト的な気持ちも、「旅拍」が流行る1つの原因になっていると思われます。そんな自由で解放的な気分に乗って、これから「旅拍」が訪れる場所が従来のタイ、韓国だけでは、中国の若者たちは満足できなくなってくるわけです。

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そうしてやってくるのが、日本です。「旅拍」の場所として、どうして中国の若者たちは日本を受け入れるのでしょうか?

小さい時からずっと、いつも日本のドラマやアニメを見て育った中国の子供たちが、大人になって結婚する年齢になりました。成長する過程でずっと見てきたマンガやドラマの世界を実際に見てみたいと思う人たちは、決して少なくないと思います。また中国ではみんな、日本に対して「小清新」というイメージを持っています。中国でいくつもヒットした日本の純愛映画が持つ、切なくて清々しいイメージです。そこには自分の恋も日本の純愛映画の主人公と同じように、きっとハッピーエンドになるというような想いがあるのです。これからの「旅拍」は、純愛映画のシーンに出てくるようなところで写真を撮るのが、大きな流れになるのではないでしょうか。

さらに近年、日本は芸能人が写真集を出すときにヒットする撮影場所となっています。電車、桜、神社、浴衣などが、写真を撮るとき欠かせないモチーフのように思われます。日本の俳優さんの蒼井優、新垣結衣の写真、また中国の俳優さんの日本で撮影した写真を見て、自分も同じように撮りたいと思う人は、少なくないはずです。

%e6%97%85%e6%8b%8d%e2%91%a4 %e6%97%85%e6%8b%8d%e2%91%a6右:中国の男優・馬天宇

日本政府により、訪日ビザの発給要件が徐々に緩和される方向にあるので、これからますます日本に来る中国人旅行客は、団体旅行ではなく個人旅行を選択する傾向が強まっていくものと思います。若い旅行客がどんどん増えていく中で、前撮り写真の撮影は、旅行目的の大きな選択肢になっていくことでしょう。そして結婚を控えた2人は、思い出写真の前撮りと一緒に日本でいろいろな物を買い、いろいろなことを体験して楽しむはずです。そうした1つひとつの体験が素敵なものであればあるほど、そこで撮影した前撮り写真の価値も、高まっていくのではないでしょうか。