日本ラーメン、中国人になぜ人気?

日本に短時間しか滞在できない外国人旅行者の「日本で味わってみたい、日本のおいしい食べ物ランキング」で、常に上位に入るのが「ラーメン」です。

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日本では地域によってラーメンの味も異なり、白湯、しょうゆ、みそ、塩など、いろいろなラーメンがあります。しかし観光客にとっては、それぞれの味を食べ比べる時間はないので、たまたま食べた1杯を「日本式ラーメン」だと思い込むことが多いと思われます。

では、いま中国で最も人気のある日本のラーメンはどんなラーメンでしょうか? ネットで調べてみると、最初に出てくるのは博多ラーメンの『一蘭』です。ネット上でその味は「神話の中にしか出てこない味」ともいわれていて、既に香港にも支店があります。

一蘭のラーメン

じつは何年か前に、中国の友人から「一蘭のラーメンの店はどこにある?」と聞かれたときに、すぐには答えられませんでした。その友人から「日本に行って一蘭のラーメンを食べるのが流行っているよ!」といわれ、その理由を詳しく聞いてみると、「芸能人がよく行く店だから」とのことでした。確かに、ネットでリサーチすると、日本で『一蘭』のラーメンを食べた後に写真をアップしている中国の芸能人が多いようです。『一蘭』が一番人気になった理由には有名人の影響があると思われますが、元々濃い味が好きな中国人にとっては、『一蘭』の濃さがちょうど良いからということもあるでしょう。

もちろん、日本ラーメンは『一蘭』だけが人気なわけではなく、「日本ラーメン」全般が中国人旅行者に人気だと思われます。日本で最初にラーメンを記載した歴史記録は、今から300年くらい前、江戸時代中期の儒学者・安積澹泊(あさかたんぱく)が書いた『舜水朱子談綺』の中に出てきた「中華麺」です。また水戸黄門で有名な水戸光圀さんも、うどんのような麺食を食べたという記録があります。そして日本にラーメンを作る技術が伝わってきたのは、清朝が滅んだ1912年のことで、最初は横浜に伝わってきたという説があります。当時は「ラーメン」ではなく「龍麺」と呼ばれていたそうです。それから100年余りを経た今、「日本ラーメン」は地域によっても味が異なりそれぞれ特徴がある、‟日本独自の食べ物”に進化しました。

一方、元々の中国の麺の種類はといえば、それはもう数えきれないくらいの、味も具材も麺の形状も麺の材料も様々な、ものすごい種類がありました。そしてその歴史はというと、2000年以上前の前漢の時代には麺の形状の食べ物が存在していたことが発掘調査などで証明されています。また、今ももちろん、たくさんの種類の麺が中国にはあり、とくに北方の人たちは麺をよく食べます。こねた材料を両手で引っ張りながら細い麺を創っていく手打ち麺が主流で、西安の麺がとくに有名です。つまり麺は中国で生まれ古くから中国人の生活の中で馴染みのある日常的な食べ物であること、そしてその製法は中国から日本に伝わったものであることは間違いないのですが、いま日本を旅行する楽しみの一つとして、中国人が「日本ラーメン」を味わう時代になっているわけです。

ではなぜ、元々中国から日本に伝わったラーメンが、中国人観光客の人気を博したのでしょうか?

ラーメン画像②

その理由は大きくは2つあると思います。

まず、旅行客にとって、ラーメンは店に入ってすぐに食べられる、すなわち短時間で日本の美味しいものを味わえる美食であるということが挙げられます。

もう1つは、多くのラーメン屋さんの入り口には布製の「のれん」があります。中国人から見ると、「のれん」は日本にしかない、日本らしい特別なモノであり、せっかく日本に来たのだから日本らしい雰囲気を体験してみたいんです。だから日本でしか見られない「のれん」を手でちょっと斜めに上げてお店に入ってラーメンを食べてみたい!ということになるわけです。居酒屋人気の理由にもつながるところです。

それにしても、中国にもいろいろなラーメンがあるのですが、どうしてわざわざ日本に来てラーメンを食べるのでしょうか?『一蘭』のように芸能人の影響力というところもありますが、私はもう1つ別の理由があると思います。

ラーメン屋ののれん

それは、日本のポップカルチャーの発信です。今の20代30代の中国人の多くは、子供の頃から日本のアニメを見て育ってきました。大人になって、アニメに出てきた食べ物に実際に触れられる機会が出てくると、そこに興味を持つようになってきたと考えられます。例えば、「NARUTO」によく登場する「一楽ラーメン」。アニメの主人公と同じように、疲れているときにのれんを上げて店に入り熱くて美味しいラーメンを食べて、また旅に出るという行動(体験?)は、旅行の時の幸せな時間となることでしょう。とくに中国人には疲れた時に温かいスープや麺類などの流し込めるものを食べるのが良いという気持ちや習慣があるのも、アニメのシーンと相俟ってラーメン人気の背景といえるのではないでしょうか。

このように、元々中国から日本に伝わってきたラーメンは長い年月を経て日本の食文化の一部となり、今や日本の食文化として中国に伝わっています。面白い「文化の逆輸出」だと思います。

中国の大学生?

2016年に入ってから、日本政府により、中国の大学生(指定校)等に対する来日ビザの発給要件や申請手続きの簡素化がすすめられています。従って、今後ますます多くの中国の若者が日本にやってくると考えられます。その若者たちに、日本の美味しいラーメンをもっと知ってもらい、もっと味わってもらいたいと思っています。