訪日旅行者は「おもてなし」をどう感じているか? —②日本料理店等で食事のとき—

今回は、前回に続いて中国からの旅行者が日本の「おもてなし」を感じる中で、中国と日本の文化や慣習の違いから生じる、日本人が気づかない困りごとがあるということを、日本料理店などで食事をするシーンの中で、ご紹介したいと思います。
◆おもてなしを感じるのは?

レストランや日本料理店で食事をするときも、スタッフの笑顔の応対や気配りが「おもてなし」を感じるベースになっていますが、日本料理店では日本ならではの店内の造りや雰囲気、料理の盛り付け方や出し方も、「おもてなし」を感じる大きなポイントになっています。

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具体的には…

・日本料理店の店内や畳の部屋の雰囲気がきれい!

・ 温かいおしぼりが出てきた!

・和紙をあしらったきれいな盛り付け方で料理が運ばれてきた!

・ 配膳の人が食べ終わった食器をさりげなく下げてくれた!

・子供がいると、子供用のスプーンやフォークを用意してくれた!

・アレルギーの有無や食べられないものを聞いてくれた!

・誕生日のサービスやプレゼントがある!

・帰るとき出口のところで飴をくれた!

と、良いことずくめのようですが…

◆じつはこんなにある!不便や不満。どうなっていたらウレシイ?

レストランや日本料理店での食事のシーンはもとより、居酒屋やラーメン屋さんも中国人旅行者がぜひ行ってみたい人気スポットです。いろいろな食事のシーンでどんなところに不便や不満を感じているのか、以下、その声を大きい順に挙げてみました。

(1)メニューが日本語だけのところが多く、分からない:

・メニューに写真がついていないので、中国人には料理の内容が分からず、注文ができない。

・外来語のカタカナ表記は、意味が全く分からない。それを中国語の音の当て字で書いても分からない。

・中国語が書いてあっても、説明や写真がないと、どういう料理か分からない。

・メニューの下に英語と中国語で説明が書いてあると良い。QRコードで翻訳が出るようにしては?

・英語なら分からないところはスマホで調べられるから英語だけでもOK。日本語だと調べられない。

・アレルギーの人向けに、卵、カニ、エビ、麦など食材の表示があれば、アレルギーの人も安心。

(2)食べ方が分からないものがあるので、マンガなどで分かりやすい説明がほしい:

・調味料の使い方、食べる順番、鍋はいつ食べればいいのかなど、説明がなく分からない。

・すき焼きの生卵を鍋の中に入れてしまったり、もりそばの上につゆをかけて下にこぼれてしまったり…。

・お寿司のワサビが苦手な中国人が多い。ワサビを入れないでほしいのをどう言えばよいか分からない。

・食べ方が日本人にとっては常識でも、それを知らない外国人には説明が必要。

・食べ方の説明はマンガを使って分かりやすく、英語と中国語で説明してあるのが良い。

(3)日本酒や飲み物の説明が欲しい:

・日本に来たら日本酒を飲みたい人が多いが、飲み方や種類の説明がなく、注文の仕方も分からない。

・ソフトドリンクやサワー、ノンアルコールカクテルなども中国にないものが多く、説明してほしい。

 

(4)良い店は予約しないと入れないが、中国からネットで予約できない:

・WeChatで予約できれば良いと思うけど、英語で予約できない。ネット予約もすべて日本語なので無理。

・せめて英語で予約できるようにしてほしい。

(5)中国人はあまり冷たい水は飲まないので、最初は温かいお茶を出してほしい:

・おなかに悪いので、普段から冷たい水は飲まない中国人が多い。とくに女性は生理のときは飲まない。

・温かいお茶が良いが、常温の水ならまだ良い。氷は要らない。

(6)「お通し」の説明がない。外国人には、「要る・要らない」が選べるようにしては?:

・頼んでないものが勝手に出てきてお金を払うのは、外国人には理解できない。

(7)席は個室にしてほしい:

・とくに居酒屋では騒いでうるさい人がいるので、中国人旅行者はなるべく個室にしてほしい。

・家族で一緒に店に入るときは、日本人もそうだろうけど、個室が良い。

(8)食事をしたレストランのお土産があれば、買って帰りたい:

・そのお店特有の料理やお菓子、調味料(塩など)を売っていたら、買ってお土産にしたい。 

(9)日本料理店で、抹茶体験ができたらウレシイ:

・きもの体験、抹茶体験は大人気だが、できるところが限られているので、あると嬉しい。

(10)食習慣の違いで配慮してほしいこと:

・中国人はコースメニューの最後にフルーツを食べたい人が多い。別注文でもフルーツがあった方が良い。

・生卵や半熟卵を食べる習慣がないので、食べられない人が多い。別メニューがあった方が良い。

・ウイグル族・回族はイスラム教徒なので、ブタが入っているものの表示が必要なことを知っていてほしい。

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と、いろいろな声がありますが、(1)~(3)の外国人が分からないことを英語で説明してほしいというところが、最大のポイントです。但し、外国人が行ったら完璧に英語で応対すればいいかというと決してそうではなく、せっかく日本に来たんだから日本語で日本の本当のサービスを体験したいという気持ちが旅行者にはあるので、すべて英語で応対しては、分かりやすくても意味がなくなってしまいます。

ですから、基本的には日本語で応対しながら、分かりにくいことの説明だけ英語と中国語で伝える(説明書きを見せるなど)ようなやり方が良いと思われます。そういう対応があると、食事の楽しさや満足度はぐんと高まると思います。

また、中国人が多いから説明は中国語だけ書いてあれば英語はいらないのでは?と、日本人の皆さんは考えるかもしれませんが、20代~30代の中国人は日常会話レベルの英語ができる人が多いので、やはり外国人が分からないことがまず英語で説明されていて、そこに中国語も併記してあるという形が、センス良い対応だと思います。逆に中国語の説明だけだと、若い人の中には違和感を持つ人もいるのではないでしょうか。

(4)の予約については、留学生は親せきや知人からよくお店の予約を頼まれます。中国でホームページに辿りつけても日本語ができないと予約ができないので、英語で書かれているといいですね。

最後にもう1つ、留学生の目線から、日本と中国の飲食店での慣習の違いを踏まえて、ぜひ日本人のスタッフの皆さんに知っていてほしいいと思われることがあります。

それは、日本では高級店では料理を出す順番が決まっていて、前に出した料理の器を下げて次の料理を出すようにしますが、中国では頼んだものが一気に出てきてズラリと並ぶのが普通で、そのたくさん並んだ状態に満足感を感じます。もちろん、日本では日本式で良く、中国と同じようにする必要はないのですが、例えば暑くて最初にアイスクリームが食べたいときでも、日本ではデザートのアイスクリームは最後に出てくるのが普通です。そこで、できれば中国人旅行者には料理の順番を説明して、順番通りの出し方で良いかどうか聞いてくれると、「暑いのでアイスクリームを先に欲しい」と伝えることができるわけです。

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旅行者にとっては気配りのある日本らしいサービスになりますし、また旅行者はSNSでそういう体験情報をどんどん発信するので、そういうお店は評価が高まるのではないでしょうか。

中国は経済が豊かになってきたこともあり、ここ数年、海外旅行ブームです。昨年海外に行った中国人は、1億2千万人いましたが、日本に来たのはその中の僅か4%、5百万人に過ぎません。日本で学ぶ留学生としては残念なことですが、多くの中国人にとって、まだ日本はみんなが行く国ではないのです。でも、日本に来る旅行者は今年も増え続けています。今後、日本旅行の魅力や快適さがもっともっと高まれば、日本を訪れる中国人は今の水準の何倍にも増えていくことと思われます。