訪日旅行者は「おもてなし」をどう感じているか?—④交通機関を利用するとき—

前回に引き続き、今回は、中国からの旅行者が交通機関(電車、バス、新幹線、飛行機、タクシーなど)を利用するときに感じる、日本ならではの「おもてなし」と、日本人が気づかない困りごとを、10人の留学生に聞きました。そこで挙がった声を集約してお伝えします。

◆「おもてなし」を感じるのはどんなとき?

中国から成田空港に着いて飛行機を降りるときに日本人のスチュワーデスさんが「行ってらっしゃいませ」と笑顔で送ってくれるとき、入国審査のカウンターの手前で係員が1人ひとりの入国カードをチェックして書き方を教えてくれるとき、バスのチケット売場やインフォメーションで一生懸命説明している係員の姿を目にするとき、「ここは日本だ!」という感慨が旅行者の胸に沸き起こってきます。中国の空港のように早く早く!と命令するような態度の係員はもちろんいません。

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その後バスや電車などいろいろな交通手段を使って日本を旅する個人旅行の人達は、交通機関を利用するときどんなことを感じているのでしょうか?まずは「おもてなし」を感じるときについて。

・どうやってホテルに行けば良いのか不安でいっぱいだったが、リムジンバスが乗り場も分かりやすくてホッとした!

・タクシーの運転手さんが優しくて、丁寧に荷物を運んでくれた!スーツ姿できちんとしているし、タクシー代をごまかされる心配もない。自動ドアも良い、さすがだなぁ!

・バスのステップが低くなっているから、乗り降りするとき老人や子供も安心だし、荷物が多いときもそんなに不便がなく、行き届いている感じだ!

・空港の中の飲食店が中国と違って、質が良く値段も高くない!

・空港や駅など公共の場所のトイレがすごくきれいで、ウォシュレットがついている! どこの駅にもトイレ
があるし、トイレットペーパーもついている!

・駅員さんが一生懸命、英語で旅行者に説明していた。あの一生懸命さに「日本らしさ」を感じる!

・大きい駅には少し中国語が話せる駅員がいる。多言語の案内機もあって便利だ!

・ワンデーパスなどの周遊パスが、安くて便利!

・ ねこの駅長さんがいたり、飛行機や列車がまるごとキティちゃんやアニメの世界になっていたり、ゆるキャラで地方の良いものを知ることがで きたりするのも、日本ならではのおもてなしだ!

・車いすの人が電車から降りるとき、その車両の前で駅員が待っていてホームに降ろし、階段を降ろしていた。すごいと感動した。日本は障がい者を差別しない社会だ!

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と、交通機関の利用についても、中国人旅行者の満足度は非常に高いのですが、やはり日本人が気づかない困りごとが結構あります。以下、その声の大きいものから挙げてみました。

◆じつはこんなにある!不便や不満。どうなっていたらウレシイ?

(1)バスに乗らないと行けない所が多いが、どのバスに乗ればいいのか、どこで降るのか、分からない:

・リムジン以外のバスの利用の仕方が本当に分からない。とくに降車ボタンをどこで押せばいいか分からず不安。
・場所によっては後ろから乗って整理券を取り前から降りるバスもあるが、旅行者には全く分からない。
・バス路線の番号を中国語で検索できるような、分かりやすい案内サイトかアプリがあったら良い。

(2)新幹線の指定席の買い方がよく分からない。分からないから車内で買うが、どうも変な感じだ:

・新幹線の指定席の予約の仕方が分からない。殆どの人がみどりの窓口で買っている。
・ネットで中国語から予約購入できて、駅の分かりやすい場所で受け渡ししてくれる仕組みがあると良い。
・東京駅の新幹線の入口も、分かりにくい。

(3)都心から観光地に行くバスのチケットを中国から予約購入できない:

・例えば新宿から富士山に行くバスも中国語で予約購入できない。電話で日本語を話さないと買えない。

(4)空港から都心へのアクセスが、個人旅行者には分かりにくい:

・空港から都心に行くのに、成田エクスプレス以外は乗り換えが2回以上あり、分かりにくい。
・羽田からでも乗り換えがあり、駅のエレベーターが少なくて荷物が多いとたいへん。
・空港のリムジンバスのチケット売場で、中国語は全く通じない。

(5)割安なデイフリーのチケットが会社ごとで使いづらい。スイカは買い方が分からない:

・JRも地下鉄・私鉄・バスも全部使える割安なワンデーパスがあると良い。
・スイカは割安ではないが、何でも乗れて便利なので使う人が増えてきているが、買い方が難しい。

(6)日本語だけの説明では、外国人にはわからない:

・事故などで電車が止まっているとき、状況説明は日本語だけで、外国人には乗り換えた方が良いなどの 状況が分からない。
・同じホームに違う路線の電車が入ってくるホームには、きちんと英語の表示やアナウンスがほしい。
・地方の列車は社内に次の駅の電子表示がなく、降りる駅が分からないので不安だ。

(7)東京のタクシーの運転手さんは、外国人が乗っても街の案内をしてくれない:

・京都の運転手さんは、走っているときにいろいろ案内してくれるので、東京でもしてほしい。
・年配の運転手さんの中に、たまに外国人をバカにした態度の人がいる。

(8)大きい駅は、表示物が多すぎてわかりにくい。自分がどこにいるのかもわからなくなる:

・駅で行きたい場所への行き方を聞くと、駅員さんの説明が細か過ぎて分からないことがある。

と、交通機関については、バスの利用や、指定席の予約購入、割安のデイフリーチケットが会社ごとで利用しづらいなど、外国人旅行者にとって分かりにくいところ、利用しづらいところは限定的で明確だと思います。

また、英語の説明があったりなかったりで、外国人旅行者が不便や不安を感じているところもいろいろ挙げられています。ただ、完璧性を求める旅行者はいないと思います。日本の交通機関は時間が正確で、ものすごい仕組みができているので、あとほんの少し、外国人旅行者の目線に立って、外国人が分からないことへの対応が整えば、ほとんど不便や不安は解消されるのではないでしょうか?おそらく、どこの国の人も日本人ほど完璧なものは求めないと思います。